第4 運営に関する基準
第4 運営に関する基準

1 内容及び手続の説明及び同意

 基準省令第5条は、入所申込者に対し適切な介護保健施設サービスを提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、入所申込者又はその家族に対し、当該介護老人保健施設の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の入所申込者がサービスを選択するために必要な重要事項をわかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該施設から介護保健施設サービスの提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものであること。なお、当該同意については、入所申込者及び介護老人保健施設双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。

2 受給資格等の確認

(1)基準省令第6条第1項は、介護保健施設サービスの利用に係る費用につき保険給付を受けることができるのは、要介護認定を受けている被保険者に限られるものであることを踏まえ、介護老人保健施設は、介護保健施設サービスの提供の開始に際し、入所申込者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確かめなければならないこととしたものである。

(2)同条第2項は、入所申込者の被保険者証に、介護保健施設サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項に係る認定審査会意見が記載されているときは、これに配慮して介護保健施設サービスを提供するように努めるべきことを規定したものである。

3 入退所

(1)基準省令第7条第1項は、介護老人保健施設は、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練等が必要な要介護者を対象とするものであることを規定したものである。

(2)同条第2項は、原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、(1)ベッドが空いていない場合、(2)入院治療の必要がある場合、その他入所者に対し自ら適切な介護保健施設サービスを提供することが困難な場合である。

(3)同条第3項は、入所申込者の病状からみて、その病状が重篤なために介護老人保健施設での対応が困難であり、病院又は診療所での入院治療が必要であると認められる場合には、適切な病院又は診療所を紹介する等の適切な措置を速やかに講じなければならないものであること。

(4)同条第4項は、基準省令第1条(基本方針)を踏まえ、入所者の家族等に対し、居宅における生活への復帰が見込まれる場合には、家庭での療養へ移行する必要性があること、できるだけ面会に来ることが望ましいこと等の説明を行うとともに、入所者に対して適切な介護保健施設サービスが提供されるようにするため、入所者の心身の状況、病歴、家族の状況等の把握に努めるべきことを規定したものである。

(5)同条第5項は、入所者について、その病状及び身体の状態に照らし、退所して居宅において生活ができるかどうかについて定期的に検討しなければならないこととされたものであること。医師、薬剤師(配置されている場合に限る。)、看護・介護職員、支援相談員、介護支援専門員等による居宅における生活への復帰の可否の検討は、入所後早期に行うこと。また、その検討は病状及び身体の状態に応じて適宜実施すべきものであるが、少なくとも3月ごとには行うこと。これらの定期的な検討の経過及び結果は記録しておくとともに、基準省令第38条の規定に基づきその記録は2年間保存しておくこと。

(6)同条第7項は、入所者の退所に際しての、本人又は家族等に対する家庭での介護方法等に関する適切な指導、病院又は診療所の医師及び居宅介護支援事業者等に対する情報提供について規定したものであること。また、退所が可能になった入所者の退所を円滑に行うために、介護支援専門員及び支援相談員が中心となって、退所後の主治の医師及び居宅介護支援事業者等並びに市町村と十分連携を図ること。

4 要介護認定の申請に係る援助

(1)基準省令第8条第1項は、要介護認定の申請がなされていれば、要介護認定の効力が申請時に遡ることにより、介護保健施設サービスの利用に係る費用が保険給付の対象となりうることを踏まえ、介護老人保健施設は、入所申込者が要介護認定を受けていないことを確認した場合には、要介護認定の申請が既に行われているか否かを確認し、申請が行われていない場合は、当該入所申込者の意向を踏まえて速やかに市町村に当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

(2)同条第2項は、要介護認定の有効期間が原則として6月ごとに終了し、継続して保険給付を受けるためには要介護更新認定を受ける必要があること及び当該認定が申請の日から30日以内に行われることとされていることを踏まえ、介護老人保健施設は、市町村に要介護認定の更新の申請が、遅くとも当該入所者が受けている要介護認定の有効期間が終わる30日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

5 健康手帳への記載

 基準省令第10条は、提供した介護保健施設サービスに関して、その記録を入所者の健康手帳の医療の記録に係るページに記載しなければならないことを定めたものである。なお、健康手帳の医療の記録に係るページの様式については、「健康手帳の医療の受給資格を証するページ及び医療の記録に係るページの様式」(昭和57年11月厚生省告示第192号)により定められているものである。

(1)「医療機関名、所在地・電話」の欄には、介護老人保健施設の名称、所在地及び電話番号を記載すること。

(2)「外来・入退院年月日」の欄には、入退所年月日を記載すること。

6 利用料等の受領

(1)基準省令第11条第1項は、法定代理受領サービスとして提供される介護保健施設サービスについての入所者負担として介護保健施設サービスにかかる費用の額のうち食事の提供に要する費用の額を除いた額の1割(法第50条又は第69条の規定の適用により保険給付の率が9割でない場合については、それに応じた割合)及び食事の提供に要した費用について、いわゆる食事の標準負担額の支払を受けなければならないことを規定したものである。

(2)同条第2項は、入所者間の公平及び入所者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない介護保健施設サービスを提供した際にその入所者から支払を受ける利用料の額と法定代理受領サービスである介護保健施設サービスに係る費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けてはならないこととしたものである。

(3)同条第3項は、介護保健施設サービスの提供に関して、

(1) 厚生大臣の定める基準に基づき入所者が選定する特別な療養室の提供を行ったことに伴い必要となる費用 (2) 入所者が選定する特別な食事の提供を行ったことに伴い必要となる費 用 (3) 理美容代
(4) 前各号に掲げるもののほか、介護保健施設サービスにおいて提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その入所者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに入所者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されない曖昧な名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、上記(4)の費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。

7 保険給付の請求のための証明書の交付

 基準省令第12条は、入所者が保険給付の請求を容易に行えるよう、介護老人保健施設は、法定代理受領サービスでない介護保健施設サービスに係る利用料の支払を受けた場合は、提供した介護保健施設サービスの内容、費用の額その他入所者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を入所者に対して交付しなければならないこととしたものである。

8 施設サービス計画の作成

(1)基準省令第13条第2項は、計画担当介護支援専門員は、サービス計画策定に当たり、入所者又はその家族と会い、入所者の心身の状況、病歴及び家庭環境等を把握し、入所者が自立した日常生活若しくは家庭での生活を可能とするために必要な支援や解決すべき課題を把握しなければならないこととしたものである。

(2)同条第3項は、計画担当介護支援専門員は、入所者及びその家族の希望、入所者について把握された課題、並びに施設の医師の治療方針に基づき、介護保健施設サービスの提供に当たる従業者(医師、理学療法士、作業療法士、看護・介護職員、栄養士等)による検討を踏まえ、サービスの目標及び達成時期、サービスの内容、サービスを提供する上で留意すべき事項等を記載したサービス計画の原案を作成しなければならないこととしたものである。介護老人保健施設においては、日常生活全てが訓練であることから、各種サービス(医療、リハビリテーション、看護、介護、食事等)に係る目標を具体的に設定する必要があり、また、達成時期についても、サービス毎に入所者の状況に応じて、短期又は中長期に設定する必要があるものとしたものである。

(3)同条第4項は、施設サービス計画の原案について、入所者に対して説明し、同意を得ることを義務づけているが、必要に応じて入所者の家族に対しても説明を行い同意を得ることが望ましいことに留意されたい。

(4)同条第5項は、計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成後においても介護保健施設サービスの提供に当たる従業者との連絡を継続的に行い、施設サービス計画の実施状況を把握するとともに、必要に応じて施設サービス計画の変更を行うこととしたものである。その際、介護保健施設サービスの提供に当たる医師、理学療法士、作業療法士、看護・介護職員、栄養士等により、各入所者毎に実施状況を評価した上で、新たなサービス目標の設定とそれに基づく計画の検討が行われることが必要であること。
 なお、効果的なサービスの提供を行うため、サービス提供に当たる従業者が各々に把握した入所者に係る情報をお互いに共有し、相互に連携を図りながら各種サービスを提供されることが重要であること。

9 介護保健施設サービスの取扱方針

 基準省令第14条第4項において、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、介護老人保健施設の医師は、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を診療録に記載しなければならないものとすること。

10 診療の方針

 基準省令第15条は、介護老人保健施設の医師が、常に入所者の病状や心身の状態の把握に努めるべきこととしたものであり、特に、診療に当たっては、的確な診断を基とし、入所者に対して必要な検査、投薬、処置等を妥当適切に行うこと。

11 必要な医療の提供が困難な場合等の措置等

(1)基準省令第16条は、介護老人保健施設の入所者に対しては、施設の医師が必要な医療を行うことを定めたものであるが、入所者の病状からみて当該介護老人保健施設において自ら必要な医療を提供することが困難であると認めた場合は、協力病院その他の病院又は診療所への入院のための措置を講じたり、又は往診や通院により他の医師の対診を求める等により入所者の診療について適切な措置を講じなければならないとものとすること。

(2)特に、入所者の病状が急変した場合などのように入院による治療を必要とする場合には、協力病院等の病院へ速やかに入院させることが必要であること。

(3)介護老人保健施設入所者に係る往診及び通院(対診)については、別に通知するところによるものであること。

12 機能訓練

 基準省令第17条は、介護老人保健施設の入所者に対する機能訓練については、医師、理学療法士若しくは作業療法士又は言語聴覚士(理学療法士又は作業療法士に加えて配置されている場合に限る。)の指導のもとに計画的に行うべきことを定めたものであり、特に、訓練の目標を設定し、定期的に評価を行うことにより、効果的な機能訓練が行えるようにすること。
 なお、機能訓練は入所者1人について、少なくとも週2回程度行うこと。

13 看護及び医学的管理の下における介護(基準省令第18条)

(1)入浴の実施に当たっては、入所者の自立支援に資するよう、その心身の状況を踏まえ、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施すること。
 なお、入所者の心身の状況から入浴が困難である場合には、清しきを実施するなどにより身体の清潔保持に努めること。

(2)排せつに係る介護に当たっては、入所者の心身の状況や排せつ状況などをもとに、トイレ誘導や入所者の自立支援に配慮した排せつ介助など適切な方法により実施すること。なお、おむつを使用せざるを得ない場合には、入所者の心身及び活動状況に適したおむつを提供し、適切におむつ交換を実施すること。

14 食事の提供(基準省令第19条)

(1)入所者の栄養状態、身体の状況並びに病状及び嗜好を定期的に把握し、それに基づき計画的な食事の提供を行うこと。

(2)調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。

(3)入所者の食事は、適切な衛生管理がなされたものでなければならないこと。

(4)食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。

15 入所者に関する市町村への通知

 基準省令第22条第1号及び第2号は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者及び自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失等により、要介護状態等若しくはその原因となった事故を生じさせるなどした者については、市町村が、介護保険法第22条第1項に基づく既に支払った保険給付の徴収又は法第64条に基づく保険給付の制限を行うことができることに鑑み、介護老人保健施設が、その入所者に関し、保険給付の適正化の観点から市町村に通知しなければならない事由を列記したものである。

16 管理者による管理(基準省令第23条)

 介護老人保健施設の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該介護老人保健施設の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該介護老人保健施設の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。

(1)当該介護老人保健施設の従業者としての職務に従事する場合

(2)当該介護老人保健施設と同一敷地内にある他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、特に当該介護老人保健施設の管理業務に支障がないと認められる場合

17 管理者の責務

 基準省令第24条は、介護老人保健施設の管理者の責務を、介護老人保健施設の従業者の管理及び介護保健施設サービスの実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該介護老人保健施設の従業者に基準省令の第4章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。

18 運営規程

 基準省令第25条は、介護老人保健施設の適正な運営及び入所者に対する適切な介護保健施設サービスの提供を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを義務づけたものであるが、特に次の点に留意すること。

(1)施設の利用に当たっての留意事項(第5号)

 入所者が介護保健施設サービスの提供を受ける際に入所者が留意すべき事項(入所生活上のルール、設備の利用上の留意事項等)を指すものであること

(2)非常災害対策(第6号)

 20の非常災害に関する具体的計画を指すものであること

19 勤務体制の確保等

 基準省令第26条は、入所者に対する適切な介護保健施設サービスの提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか次の点に留意すること。

(1)同条第1項は、介護老人保健施設ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、看護・介護職員等の配置等を明確にすることを定めたものであること。

(2)夜間の安全の確保及び入所者のニーズに対応するため、看護・介護職員による夜勤体制を確保すること。また、休日、夜間等においても医師との連絡が確保される体制をとること。

(3)同条第2項は、介護保健施設サービスは、当該施設の従業者によって提供することを原則としたものであるが、調理、洗濯等の入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。

(4)同条第3項は、介護老人保健施設の各職種にわたって、統一した運営方針のもとに介護保健施設サービスの提供を行い、かつ、その向上を図るため、計画的に職員の研修の機会を確保するよう努めるものとしたものであること。

20 非常災害対策

(1)基準省令第28条は、介護老人保健施設の入所者の特性に鑑み、非常災害に際して必要な具体的計画の樹立、避難、救出訓練の実施等の対策に万全を期さなければならないこととしたものであること。

(2)「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則第3条に規定する消防計画及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいうこと。なお、この場合、消防計画の樹立及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定による防火管理者に行わせること。

21 衛生管理等

 基準省令第29条は、介護老人保健施設の必要最低限の衛生管理等を規定したものであるが、このほか、次の点に留意すること。

(1)介護老人保健施設は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じ保健所の助言、指導を求めるとともに、密接な連携を保つこと。

(2)医薬品の管理については、当該介護老人保健施設の実情に応じ、地域の薬局の薬剤師の協力を得て行うことも考えられること。

(3)空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。

22 協力病院

 基準省令第30条は、介護老人保健施設の入所者の病状の急変等に対応するため、あらかじめ1以上の協力病院を定めておくとともに、歯科医療の確保の観点からあらかじめ協力歯科医療機関を定めておくよう努めなければならない旨規定したものであること。なお、その選定に当たっては、必要に応じ、地域の関係団体の協力を得て行われるものとするほか、次の点に留意すること。

(1)協力病院は、介護老人保健施設から自動車等による移送に要する時間がおおむね20分以内の近距離にあること。

(2)当該病院が標榜している診療科名等からみて、病状急変等の事態に適切に対応できるものであること。

(3)協力病院に対しては、入所者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、あらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。

23 秘密保持等

(1)基準省令第32条第1項は、介護老人保健施設の従業者に、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものであること。
(2)同条第2項は、介護老人保健施設に対して、過去に当該介護老人保健施設の従業者であった者が、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、介護老人保健施設は、当該介護老人保健施設の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めをおくなどの措置を講ずべきこととするものであること。

(3)同条第3項は、入所者の退所後の居宅における居宅介護支援計画の作成等に資するために、居宅介護支援事業者等に対して情報提供を行う場合には、あらかじめ、文書により入所者から同意を得る必要があることを規定したものであること。

24 居宅介護支援事業者に対する利益供与等の禁止

(1)基準省令第33条第1項は、居宅介護支援事業者による介護保険施設の紹介が公正中立に行われるよう、介護老人保健施設は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に対して当該施設を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものであること。

(2)同条第2項は、入所者による退所後の居宅介護支援事業者の選択が公正中立に行われるよう、介護老人保健施設は、居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該施設からの退所者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものであること。

25 苦情処理

(1)基準省令第34条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等、当該介護老人保健施設における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、入所者に介護保健施設サービスの内容を説明する文書に苦情に対する措置の概要についても合わせて記載するとともに、施設に掲示すること等である。

(2)同条第2項は、介護保険法上、苦情処理に関する業務を行うことが位置付けられている国民健康保険団体連合会のみならず、住民に最も身近な行政庁であり、かつ、保険者である市町村が、介護保健施設サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村についても国民健康保険団体連合会と同様に、介護老人保健施設に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを明確にしたものである。

26 地域との連携等

 基準省令第35条は、介護老人保健施設が地域に開かれたものとするため、介護老人保健施設は地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。

27 事故発生時の対応

 基準省令第36条は、入所者が安心して介護保健施設サービスの提供を受けられるよう、介護老人保健施設は、サービスの提供により事故が発生した場合は速やかに市町村、当該入所者の家族等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものであり、以下の点に留意すること。

(1)介護老人保健施設は、入所者に対する介護保健施設サービスの提供により事故が発生した場合の対応方法について、あらかじめ定めておくことが望ましいこと。

(2)介護老人保健施設は、賠償すべき事態となった場合には、速やかに賠償しなければならない。そのため、損害賠償保険に加入しておくか若しくは賠償資力を有することが望ましいこと。

(3)介護老人保健施設は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。

28 会計の区分

 基準省令第37条は、介護老人保健施設は、介護保健施設サービスと他の介護給付等対象サービスとの経理を区分するとともに、介護保険の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものであるが、具体的な会計処理の方法等については、別に通知するところによるものであること。

29 記録の整備

 基準省令第38条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。

(1)介護保健施設サービスに関する記録

(1) 施設サービス計画書
(2) 診療録その他の介護保健施設サービスの提供内容に係る記録
(3) 基準省令第7条第5項に規定する居宅への復帰の可能性についての検討の記録

(2)基準省令第22条に係る市町村への通知に係る記録


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